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拡散する表面 [Superficie Divergente]

エンリコ・カステッラーニ

1966

何も描かれていない白いカンヴァス。しかし、その表面には細かい起伏が幾重にも連なり不思議なリズム感を生み出している。本来、平らであるべき絵画のカンヴァスに、釘を使って凹凸を作り上げた本作は、1960年前後より開始した連作の中からの一枚である。当時ミラノの美術界は実験的な空気にあふれ、カステッラーニ自身も前衛雑誌『アジムート(方位)』を創刊するなど芸術論議の一翼を担っていた。
ルーチョ・フォンタナがカンヴァスを切り裂いてその向こうに広がる現実空間を取り込んだのに続き、カステッラーニの探究は絵画と外界を隔てる一枚の皮膜である「表面」に向けられた。カンヴァスに起伏を作ることによって曖昧な空間領域を生み出したのも、その上をモノクロームで均一に塗り込め微妙な陰影を映し出したのも、「表面」の存在を強調するために他ならない。《拡散する表面》というタイトルが示唆するように規則的な起伏の反復は、カンヴァスという枠を越えて無限に広がっていく。(C.M.)