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コーちゃんの休日

小倉 遊亀

1960

作者は、モデルとなった越ちゃんこと越路吹雪を楽屋に訪ねた際、その繕わぬあけっぴろげな態度に好感をいだいたという。初対面のそんな印象が、この絵の構図を決定させたのだろう。人気シャンソン歌手のくつろぐ姿が、画面をはみだす程ののびやかさで描かれている。背景の平坦で強い赤と、帯の紫で生じる明快な色彩の対比や、デッキチェアのストライプと、浴衣の柄の織りなす軽快な線のリズムといった画面の特質は、本図をモダンと呼ぶにふさわしいものにしている。
しかし、この画面はそうした「新しさ」によってのみ成り立っているのではない。例えばその横臥するポーズは、西欧の近世において「クレオパトラ」として流布したポーズがおそらく参照されている。また、浴衣でゆるやかなカーヴをえがいているのは、パルメットと呼ばれる西方起源の植物紋様で、日本では古墳時代よりしばしば用いられてきたものである。小倉遊亀は、デフォルメを用いたおおらかな形態感覚、明快な色彩による構成などによって、日本画に近代的な造形性を持ち込んだ。本図では東西の伝統が、モダンな眼によって捉えなおされているのである。(R.N.)